映画考察「エイリアン」(2)ランバートの最後とエイリアンの繁殖方法

エイリアン

ランバートの出生の秘密

前回の考察記事で紹介した「エイリアン2」のノストロモ号の乗組員の各個人プロフィール。

このプロフィールの中で特に面白いのはランバート。

プロフィールの備考欄には、ランバートは出生時に男性から女性に性転換されたと記載されています。

デスピン転換とかなんとか書かれてて、これは「エイリアン」世界の架空の施術ぽい。

これの何が面白いかというと、「エイリアン」の終盤のランバートの殺され方にある。

なぜ靴とズボンがなかったのか?

この点についてはYouTubeの「Alien Teory」というチャンネルの動画で取り扱われています。

Alien: Lambert's Violation – Theory

ランバートはエイリアンに襲われて殺害されますが、その時、ランバートはエイリアンに服を脱がされている(引き裂かれた?)。リプリーがランバートとパーカーの悲鳴を聞いて駆けつけると、既に2人は殺された後でした。その時にランバートの足がチラリと映りますが、彼女はズボンと靴をきちんと履いていたはずが、裸足になっています。

下の写真は上記の「ALIEN Teory」の動画内のワンシーンですが、手前の足がランバートのもの。太ももくらいまで映っているが、ズボンがない。

画像
映画「エイリアン」のワンシーン
Alien:Lambet’s Violation – Theory(Alien Theory)より


このシーンの直前、リプリーが2人の元に走って向かっている最中にエイリアンがランバートを襲うシーンが挟まってますが、エイリアンの尻尾がランバートの股の間を抜けて、背中側に回り込む様子が描かれます。次のカットで怯えるランバートの表情が映り、走るリプリーの姿に切り替わり、ランバートの悲鳴が重なる。

尻尾が背中側に回った後に何をされたかは、映像では描写されていないため謎となっています。

エイリアンの殺害方法

ここまでエイリアンはブレッド、ダラス、パーカーと3人の男性を襲ってますが、ブレッドとパーカーについては襲いかかってすぐに頭を隠し顎で貫いて殺害してます。ダラスについては襲いかかった後に何をされたかはわからないのですが、「エイリアン ディレクターズカット」では劇場公開版でカットされた、襲われた後のダラスがエイリアンの繭にされているシーンが含まれてます。そこではダラスは普通に服を着ています。

これら3人に対してエイリアンは服を脱がすような行為は行っていません。

しかし、ランバートに対してだけ、エイリアンはすぐに襲いかからず、何かに時間をかけています。

これに似たシーンとして、映画のラストでナルキッソス内でリプリーに近づくエイリアンもすぐに襲いかからずに、時間をかけてリプリーに近寄っている。

つまり、男性たちは襲われるとすぐに殺されてしまいましたが、ランバートとリプリーの2人の女性にはエイリアンはすぐに襲いかからず、ゆっくり観察するような行動を取っています。

エイリアンの繁殖方法

ディレクターズカット版ではエイリアンの巣でダラスとブレッドが卵に変えられようとしているシーンがありましたが、劇場公開版ではカットされているため、エイリアンの一作目の時点ではエイリアンの繁殖方法は謎となっていました。

しかし、続く「エイリアン2」ではクイーンエイリアンが初登場し、クイーンが大量に卵を産み繁殖していくという、アリやハチに似た繁殖形態である事がわかります。基本的にこれがエイリアンの繁殖方法として以後のシリーズや様々なスピンオフ作品で扱われることになります。

さらに、エイリアンはフェイスハガーが宿主の身体に幼虫を産みつけ、ある程度大きくなるまで宿主の体内で成長する。その間に宿主の特徴を受け継ぐ事が後の作品でわかっています。

「エイリアン3」では犬に寄生したエイリアンは四つ足で素早く動き回るようになっていたし、「エイリアンvsプレデター2」でプレデターに寄生したエイリアンはプレデターの特徴的なたてがみを備えて生まれてきました。

一作目のエイリアンはノストロモ号の男性乗組員のケインに寄生していたため、人間のような姿で生まれた。となると、もしかしたら繁殖方法も受け継いでいたのかもしれない。だから、繁殖するため女性に子供を産ませようとしたと考えるとランバートをすぐに殺さなかったことに辻褄があう。

「エイリアンvsプレデター2」では妊娠中の女性にエイリアンの子供を直接寄生させていたが、もしかしたら、プレデターの繁殖方法がこのような形なのかもしれない。

エイリアンの繁殖方法はクイーンが産む卵の形式だけではなく、宿主となった生物の繁殖方法も受け継ぐのではないか?と考えました。

エイリアンは恐らく様々な惑星の環境に順応できるように、その星の生物に寄生して、その特徴を受け継いで生まれてくるのだと思います。その惑星に生息しているならその生物の特徴がすなわちその環境に適したものである可能性が高い。その時、その生物の繁殖方法もコピーしていても不思議ではない。

エイリアンも驚いた?

そこで、冒頭に記載したランバートのプロフィールにあった性転換の事実を思い出そう。エイリアンは繁殖のため、ランバートの服を引き裂いたが、ランバートは性転換で女性化したものの、この転換では子供を産む能力は与えられないものだったとしたら。

エイリアンはランバートを繁殖のために活かしておく必要はないと判断して、そのまま殺害した。そう考えると、何故ランバートだけが服を脱がされて死んでいるか説明できる。エイリアンも驚いたかもしれませんね。笑

とはいえ、公式にこういった設定であるかは言及されていないので、すべて僕の妄想なんですが、このランバートのプロフィールにある性転換という設定はもしかしたらこういうことを誰かが意図して入れた設定かもしれないと思うと、なかなか面白いですよね。

検討段階でのランバートの死亡シーン

玄光社から出ている「メイキング・オブ・エイリアン」にはこのランバートの最後のシーンについては別案があったことが記載されている。

ランバートはエイリアンに出くわして、恐怖のあまり、後ずさりしてロッカーの中に隠れる。そのまま、恐怖のあまりロッカーの中で丸まって死んでしまうという案も検討されていたそうです。

撮影前にこのアイディアは変更されたそうですが、監督のリドリー・スコットはランバート以外にも各キャラクターの殺害方法はギリギリまでいろいろ考えていたようで、撮影しながら様々なアイディアを出して決めていったようです。

ランバートの殺害シーンも実は、エイリアンの尻尾が彼女の股の間をぬっていく映像はランバート役の役者さんではなく、ブレッド役の役者さんの別シーン用に撮影したものを使ったのだとか。よく見ると靴が直前のカットでランバートが履いているものとは違うのがわかります。

このシーンでランバートはキャメルっぽい色のロングブーツを履いてます。

いろんなアイディアを映画の完成ギリギリまで混ぜて作っていったので、上記に書いたような設定の元で最終的な映画のシーンになった訳ではないかもしれない。

けど、この設定面白くないですか?ねえ、20世紀フォックスさん。

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