『エイリアン』シリーズには毎回、アンドロイドが登場し、ストーリーに重要な役割を果たしている。各作品のアンドロイドの特徴と性格を紹介する。
『エイリアン』シリーズのアンドロイド
『エイリアン』シリーズに登場するアンドロイドに共通する特徴を説明する。
これまでに『エイリアン』~『エイリアン:コヴェナント』までの6作の中で登場したアンドロイドは以下の通り
『エイリアン』:アッシュ
『エイリアン2』:ビショップ
『エイリアン3』:ビショップ、ビショップⅡ
『エイリアン4』:コール
『プロメテウス』:デイヴィット
『エイリアン:コヴェナント』:デイヴィット、ウォルター
シリーズに登場するアンドロイドはすべてウェイランド湯谷社の所属。ウェイランド湯谷が製造しているのか、ウェイランド湯谷社以外の製造のアンドロイドがいるかは不明。『エイリアン2』に登場するビショップは自分のことを合成人間と呼んでほしいと語っており、単純なロボットとは別物らしい。
腕力は通常の人間を超えており、アッシュは片手で軽々とリプリーを投げ飛ばしたり、パーカーを片手で退けたりしている。また、ビショップはテーブルの上に開いて置いた手の指と指の間を高速でナイフで突くという芸当も見せている。
傷つくと人間の血の代わりに白い液体が流れ出る。ただし、首がもげたり、上半身と下半身に引きちぎられても死ぬことはない(大きなダメージは受けており、機能停止等は起きる)。
アッシュ

1作目の『エイリアン』に登場するアンドロイド。
シリーズ1作目ということもあり、まだ観客にとってはアンドロイドの存在は予想できず、終盤まで人間かのように振る舞っていた。
1作目の『エイリアン』の恐怖を演出する上ではこのアッシュは重要な存在を果たしていた。
『エイリアン』の公開当時のキャッチコピーは「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」だった。
宇宙船の中は閉ざされた閉鎖空間であり、そこから逃げ出すこともできないし、助けを呼んでも地球は遠い彼方。
この不安と恐怖感をさらに増幅させたのが、『エイリアン』事件の元凶がノストロモ号のオーナーであり、乗組員全員の雇い主であるウェイランド湯谷社であったということ。その手先として動いていたのがアッシュだったという事実が明かされたことで、すべてが仕組まれていたことであり、そしてこの状況下では乗組員の命よりもエイリアンが優先されていることが絶望感を生んでいた。
そのため、アッシュは完全な悪役として描かれており、「君たちに生き残るチャンスはない。だが、せめて同情はするよ」というセリフと共に不敵な笑みを浮かべていた。
アッシュが残した強烈なインパクトはその後のシリーズ全体に流れるアンドロイドへの不信感、不安感を観客とリプリーに与えることとなった。
ビショップ(エイリアン2)

シリーズ2作目の『エイリアン2』に登場したアンドロイド。宇宙海兵隊に所属し、スラコ号に搭乗してLV426へ向かう。
前作のアッシュの件でリプリーにはアンドロイドに対する強い不信感があり、映画の序盤でもビショップはリプリーから拒絶されてしまう。
ビショップ曰く、アンドロイドは「人間を傷つけることもないし、人間が傷つくとわかっていて放置することもない」と語る。しかし、それがアッシュの行動と正反対であることから、よりアンドロイドおよび目の前にいるビショップに対する不信感を増幅する形になっている。
結論としてはビショップは自身の発言の通り、自分の身の危険を冒しながらも最後まで人間を救うために行動し続ける。
まず一つにビショップはドロップシップが墜落してスラコ号に戻れなくなった一行の脱出のため、単身で電波塔へ向かい予備のドロップシップを遠隔操作でスラコ号から呼び出す。植民地内にはエイリアンが多数生息しており、遭遇すれば襲われる可能性もあるなか、人ひとりが這いつくばってようやく進める配管の中を這って電波塔に向かう。単身で向かうことを名乗り出たときのセリフで「できることならわたしも行きたくはない。合成人間だって不死身じゃないからね」と語っており、このタイミングからリプリーのビショップへの印象は変化を始める。
さらには、予備のドロップシップが到着し、脱出できる状況になるも、エイリアンにさらわれたニュートを救出に向かったリプリーが戻るまでリスクを冒して待機していた。植民地全体の爆発が起きるタイムリミットが迫る上に、待機しているだけでもエイリアンがどこから現れるかわからない。また、リプリーを待機するために着陸していた足場が崩れそうになり、ドロップシップを発進させて旋回して待機していた。
ラスト付近ではエイリアン・クイーンをスラコ号の船外に吹き飛ばすためにリプリーが開いたエアロックにニュートが吸い込まれそうになると、自分も吹き飛ばされそうになる中、がっちりニュートをつかんで助けていた。
映画序盤の「人間が傷つくとわかっていて放置することもない」を最後までやり切ったビショップ。完全悪役のアッシュの印象をうまく逆張りして映画を盛り上げる完全善玉キャラだった。
ビショップ(エイリアン3)

前作でエイリアン・クイーンに身体を上下に真っ二つにされたビショップだったが完全な機能停止には至っておらず、リプリーらと共に脱出艇でフィオリーナ161に脱出していた。しかし、フィオリーナへの着地時の衝撃で深刻なダメージを受けて、修復不能と判断されてゴミ捨て場に捨てられてしまう。
スラコ号からなぜ緊急脱出させられたかを調べるためにフライトレコーダーの読み込みができるビショップをゴミ捨て場からリプリーが回収。応急処置の上で起動する形で再びビショップが登場することになる。
ビショップによって読みだされた情報により、スラコ号にエイリアンが潜んでいたこととフィオリーナまでついてきていたことが告げられる。
リプリーらが再び閉鎖空間であるフィオリーナの中でエイリアンと共に閉じ込められていること、さらにはその状況のきっかけもエイリアンによって発生していることも絶望感を生む要素となっている。
ビショップはこの時点で相当なダメージを受けており、「具合が悪い」と言い、リプリーに電源を切ってほしいと願う。それだけ、自分が厳しい状況でもフライトレコーダーの情報をリプリーに提供するあたり、やはり前作のビショップらしさを見せている。しかし、そんなビショップが電源を切ってほしいと懇願し、電源を切られる場面もまた救いのない絶望感を与える。
『エイリアン3』のビショップは登場場面は短いものの、映画全体に流れる絶望感を下支えする役割を務めていた。
ビショップⅡ

『エイリアン3』のラストにウェイランド湯谷から派遣される救助隊と共にフィオリーナ161へ現れるビショップⅡ。しかし、このビショップⅡがアンドロイドではない可能性がある。
アンドロイドと考える要因としてはエンドロールにて「ビショップⅡ」とクレジットされている点があるのだが、劇中でアーロンにスパナで殴られて負傷した際に赤い血を流しており、本人も自分はアンドロイドではなく人間だと話している。
ビショップⅡは当初、リプリーには彼女の体内にあるエイリアンの幼虫を取り出して抹殺すると話す。危険な生物であり、生かしてはおけないとも話すが、実際にリプリーが溶鉱炉に飛び込もうとすると前言をひるがえしてエイリアンは貴重な生物であり、研究したいと語っている。さらにはリプリーが溶鉱炉に飛び込むと「やめろおおおお」と絶叫している。
これらの行動がアンドロイドとしてはあまりにも人間的・感情的であり、このビショップⅡは人間の可能性が高い。
「ビショップⅡ」は便宜的なクレジットであり、実はきちんとした本名があるが劇中では言及されなかっただけかもしれない。
ただし、人間・アンドロイドいずれであっても、前作でリプリーらを救った善のアンドロイドのビショップと同じ姿形の人物が今度はウェイランド湯谷の手先として現れる。もう、何もかもが絶望という状況をリプリーに与えている。
コール

『エイリアン4』のコールはシリーズ初の女性型のアンドロイド。人間以上に人間らしい面を見せていたため、中盤でアンドロイドであることが判明するまでは人間のキャラクターかのような印象を与えており、ここは1作目のアッシュの展開の逆パターンでインパクトを与えていた。
コールは元々、リプリーやエイリアンの存在を知っており、エイリアンが地球へ放たれることを防ぐためベティ号のクルーとしてオーリガ号に潜入した。
ジョーナーにからかわれるブリーズをかばったり、クローンとして生まれて実験に使われるリプリー8号に苦しみから解放してあげるために「殺してあげましょうか」と尋ねるなど、行動や動機は相手を気遣ったもので、ビショップに続いての善玉アンドロイドとして設定されていた。
『エイリアン4』は『エイリアン3』にもやや近い絶望感に退廃的な雰囲気が漂う。『エイリアン4』にはいわゆる善人と言えるような人間キャラクターが登場せず、エイリアンを研究するオーリガ号のクルーたちしかり、そのオーリガ号の研究のための寄生体に使う人間を運び込むベティ号のクルーも人間としてはゆがんだキャラクターたちばかりであった。その中で唯一善人として描写されていたコールが実はアンドロイドだったというのが強烈な皮肉となっている。
主人公であるリプリーもエイリアンとの遺伝子的な融合を果たしており、もはや人間ではないため、メインキャラクター2人が共に人間ではない。その2人が人間のために(地球へエイリアンが放たれないよう)エイリアンと戦うというのは、この世界にはもはや人間らしい人間なんていないという皮肉にも取れる。
最終的にリプリーと共に地球へたどり着いたコールだが、その後は描かれていない気になるキャラクターの一人。
デイヴィット(プロメテウス)

デイヴィットはLV-223へ向かうプロメテウス号のアンドロイドとして登場する。
プロメテウス号の乗組員たちはコールド・スリープで冬眠状態でLV-223へ向かうが、その間、デイヴィットは冬眠せずに恐らくは航行中のメンテや何らか非常事態が起きた時の対処を行う役目を果たしていると思われる。
これは続編の『エイリアン:コヴェナント』でコヴェナント号のウォルターも同様に冬眠せずに船のメンテや異常時の対応をしていたことから、この時代のアンドロイドはそのような役目が与えらえていたと考えられる。
『エイリアン2』ではバークがこの手の任務にはアンドロイドが参加するのが通常であると語っている。ただし、ビショップは冬眠状態でLV-426へ向かっているため、『エイリアン2』の時代ではもう少し宇宙船が進歩して常時アンドロイドが起動してメンテ等をする必要がなくなったのだろう。
デイヴィットはシリーズの中でも特に存在感の強いキャラクターになっており、LV-223で創造主たる人間のピーター・ウェイランドがエンジニアに殺害される原因を作ったり、のちに続編でエイリアンを実験で生み出すなど、これまでのアンドロイドの発展として自らの創造主たる人間を上回る存在とならんとする意思をもって行動する。
デイヴィット(エイリアン:コヴェナント)

『エイリアン:コヴェナント』に登場するデイヴィットは前作の生存者であるエリザベス・ショウ博士と共に脱出して、コヴェナント号のクルーたちがたどり着いた惑星で様々な実験を繰り返していた。
前作からの引き続いて、様々な場面で自らの意志を持って人間たちを危険にさらすような行動を取る。ここはビショップの語る「人間には危害を加えない」というアンドロイドの特徴はまったく該当しない。
たどり着いた惑星で生活していたエンジニアをブラック・グーで抹殺することに始まり、エリザベス・ショウ博士をブラッグ・グーの研究のための実験台に使ったり、邪魔になりそうなウォルターを始末したり、オラムをエイリアンの寄生体にしたりとやりたい放題である。
アッシュと共に悪のアンドロイドの筆頭であるが、アッシュはあくまでウェイランド湯谷の指示に従って行動したのに対して、デイヴィットはもはや自らの自由意思で人類に害を与える最強の悪役アンドロイドとなっている。
デイビットはコヴェナント号を乗っ取り、エイリアンの胚を手に入れたまま映画が終わっているため、その後、彼が何をしていったかは非常に気になる。
ウォルター

ウォルターはコヴェナント号に搭乗するアンドロイド。デイヴィットと姿形がまったく同じだが、モデルとしては1世代あたらしく機能的にも上回っている。
劇中ではコヴェナント号のクルーたちのために行動する。特にダニエルズは序盤で夫を失ったことも相まって、ウォルターの支えにより、彼に心を開いていく。ここはリプリーとは逆で彼女のアンドロイドへのポジティブな印象を作ることに繋がっており、それが逆にラストでの悲劇の伏線にもなってしまう。
最終的にはウォルターはデイヴィットとの格闘で倒された模様で、一人戻ったデイヴィットはウォルターと入れ替わってコヴェナント号に潜入する形となる。
ダニエルズはウォルターへの信頼感から入れ替わったデイヴィットへの警戒心が弱かったことで、デイヴィットを自由にしたままコールドスリープに入ってしまい、結果、コヴェナント号がデイヴィットの手中に入ってしまう。
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