外伝扱いの『エイリアンvsプレデター』
2004年公開の『エイリアンvsプレデター』(AVP)と2007年公開の『エイリアンズvsプレデター』(AVP2)は界隈では基本的には外伝的な作品として捉えている人が多く、「エイリアン」および「プレデター」の各シリーズの正史ではないという意見が大勢。この点についての個人的な見解を述べる。
外伝扱いされる理由
AVPシリーズが外伝扱いされる理由としては大きい要素となっているのが2012年公開の『プロメテウス』。
『エイリアン』の前日譚として制作された『プロメテウス』では『AVP』に登場したようなゼノモーフは登場せず、その前身となる「ディーコン」という生物が登場しており、映画の舞台である2093年の時点ではあのゼノモーフは存在していないのでは?という解釈がされているから。
また、『プロメテウス』の続編である2017年公開の『エイリアン:コヴェナント』(以下、『コヴェナント』)ではゼノモーフにそっくりのプロトモーフが登場している。プロトモーフはアンドロイドのデイビットが異星人(エンジニア)が生み出したであろう生物を異常変化させる黒い液体を使って様々な実験を繰り返した結果、誕生しており、ゼノモーフの始祖はこの映画の舞台である2104年に現れたと考えられている。
そのため、『AVP』の舞台である2004年の時点でゼノモーフが登場している世界線は正史とは矛盾するので、これは外伝だねという理屈になる。
まあ、そもそもエイリアンとプレデターという2大モンスターが戦うなんてお祭り映画なんだから外伝でしょという単純な考え方もある。
しかし、果たしてそうだろうか?
『AVP』シリーズが正史である可能性を探る
個人的には『AVP』シリーズは「エイリアン」「プレデター」両シリーズの正史であると考えている。というか、正確には考え「たい」。だってその方が面白いから。
とはいえ、想いだけではない理由もある。
『プロメテウス』や『コヴェナント』が公開された時点では自分も『AVP』シリーズは外伝だったのかと思ったことがあったが、その後、時が経つにつれて、『AVP』正史説は徐々に首をもたげてきた。
まず、『プロメテウス』シリーズと『AVP』シリーズは本当に矛盾するのかを考察する。
ゼノモーフは『プロメテウス』以前から存在していた
確かに『コヴェナント』ではプロトモーフが誕生していたが、これが本当にかのゼノモーフの始祖であるのか。『コヴェナント』のその後が現時点では描かれていないため明確にはなっていないが、プロトモーフというさもゼノモーフの原型かのようなネーミングが実はミスリードになっているのではないか。
『プロメテウス』のエンジニアの遺跡の壁画にはゼノモーフのレリーフらしきものが存在している。デイビットたちが遺跡を探索するシーンで発見されるのだが、存在しないもののレリーフを作ることはできない。少なくともエンジニアたちの頭の中ではこの姿が描けていないとこのレリーフは作れないからだ。

つまり、『プロメテウス』以前からゼノモーフはあの姿で存在していたことを示唆している。
『コヴェナント』でデイビットはゼノモーフの原型を初めて生み出したのではなく、ゼノモーフ(の類似生物)を再現させたのではないか。
上記のAVPCentralの記事によると、この点は小説版の『コヴェナント』の中でも書かれているらしい(up主は小説版は未読のため未確認ですが)
『エイリアン』のスペースジョッキーの化石化
もう一つ『プロメテウス』以前にゼノモーフが存在していたと考えられる要素に、『エイリアン』のスペースジョッキーの死体が化石化していた点があります。
『エイリアン』ではケイン、ランバート、ダラス船長がLV426でエンジニアの宇宙船を発見し、内部を探索中にエンジニアの遺体を発見する。このエンジニアの遺体はスペースジョッキーという名前が設定されているが、ダラスのセリフでこの遺体が化石化していることが告げられる。
スペースジョッキーの胸には内部から破裂した傷跡があり、これがゼノモーフに寄生されたことでチェストバスターの餌食になったことが示唆されている。その後、ケインがスペースジョッキーの台座の穴から下に降りていくと、大量のゼノモーフの卵を発見しており、このスペースジョッキーがゼノモーフの餌食になったことはほぼ間違いないだろう。
福井県恐竜博物館のサイトでは骨が化石化するにはどのくらい?というコラムがあったが、「早ければ一年未満、長ければ数百万年」という恐ろしく幅の広い結論であった。
ただ、化石化とは以下のように説明されていて、
化石となるものの周囲の土砂や水に含まれている、石の元になる成分(方解石、鉄、リン酸塩、シリカなど)が、骨に置き換わっていく反応です。一般的に化石となる骨は土砂などに埋まっていることが多いので、周りの土砂からゆっくりと石の元になる成分が染み込んでいきます。
スペースジョッキーは土壌に埋まっていたわけではなく、野ざらし状態であった。それが化石化するとなるとかなりの年月は必要そうに感じる。
一方、仮に『コヴェナント』のプロトモーフがゼノモーフの始祖であるとするとその誕生は2104年であり、『エイリアン』の舞台は2122年とされているのでスペースジョッキーがゼノモーフに襲われるのはこの18年の間の出来事ということになる。
果たして、最大でも18年という期間でスペースジョッキーの遺体が化石化するであろうか。LV426という未知の惑星の環境化であるため、判断は難しいがもっと長い期間必要なのではないか。
つまりはスペースジョッキーを襲ったゼノモーフはデイビットの生み出したプロトモーフを起源とした生物ではなく、それ以前のはるか昔から存在していたと考える方が妥当。
これで『AVP』シリーズと正史の間の矛盾であるゼノモーフの誕生時期については崩せると考える。が、それは矛盾を崩したにすぎず、『AVP』シリーズが正史である証拠ではないと言われると「ぐぬぬ」である。
また、考察して記事を起こす。
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